慈恩寺へ御来山歓迎


第十二番 華林山慈恩寺 (慈恩寺観音) 慈恩寺観音のホームページ  天台宗
 〒339-0009埼玉県岩槻市慈恩寺一三九 048(794)1354
 本尊●千手観世音菩薩 開基●慈覚大師 創立●天長元年(八二四) 住職●大嶋見順
●詠歌●慈恩寺へ 詣る我が身も たのもしや うかぶ夏島を 見るにつけても

東叡山末の大寺
 慈恩寺は人形づくりで知られる岩槻の町から五 キロはど北の郊外にある。『風土記稿』に「慈恩 寺、天台宗、東叡山の末、華林山最上院と号す。 当寺古は本坊四十二坊、新坊二十四坊云々とある にても、大寺たりしこと知らる」とあり、また現 存の元禄七年(一六九四)の古図でも約十三万五 千坪に及ぶ境内を構えていた。だから「慈恩寺は 古蹟にして、しかも大刹なりしかば、その境内、 山林、田畠のかかわる所は、いつとなく慈恩寺村 と呼ならはせり」と『風土記稿』は誌している。 しかも『坂東霊場記』は「近隣他境数里の境、貴 賎道俗昼夜をわくなく歩を運び群集をなせり」と その繁栄ぶりを書きとめている。
 だが文政十年(一八二七)焼失、天保十四年 (一八四三)に至って深乗上人の代に再建、昭和 の大改修がなされて今日に及んでいるのが、現在 の十三間四面の大本堂である。格天井の花鳥絵、 天井の鳳凰の図、欄間の天人の彫り物などこの大 寺にふさわしく、みな立派なものである。
 江戸時代には天正十九年(一五九一 徳川家康 が寺領百石を寄せ、なかでも寛文十年(一六七 〇)東照神君の霊牌供養料二十八石を受けたこと は特記すべきことである。そして文政年間(一八 一八〜三〇)から日光輪王寺法親王歴代の参籠所 となるなど、いかに由緒正しき寺であったかが知 られる。
 寺伝によれば天長年間(八二四〜三四)慈寛大 師の草創という。大師が関東巡錫の折、日光山の 頂から仏法弘通の霊地あらば示し給えと「李」の 実を虚空に投ずると、この地に落ち華を咲かせた ので、千手観音の尊像を自刻、一宇を建立して安 置したのに始まると伝える。山号の由来である。 この伝承は「異常成長譚」に属するもので、植物生 成の説話は農耕に深い関係をもっており、ここ の観音さまの示現が農耕民の希求に、その発想を もっていたと考えてよかろう。そして李の実に大 きな除魔力を期待した地域開発の願望でもあった。 のちにご本尊は焼失、現在は天海大僧正が寛永十 一年に納められた本尊を祀る。夫婦の円満を祈る 観音さまとして知られる。
 本堂前に天正十八年 (一五八九)伊達与兵衛尉 房実が奉納した南部鉄の灯籠が古雅なたたずまい をみせている。

玄奘塔のある寺
 寺名は慈覚大師が入唐求法の時に修学した長安 の大慈恩寺の風景に、この地が似ているのでつけ られたという。これが縁となって現在では境内か ら東南三〇〇メートルの地に玄奘三蔵法師の「霊 骨塔」が建てられている。玄奘三蔵法師が仏典を 求めてインドヘ旅立ったのは、西暦の六二七年、 二十六歳の時であった。この旅の辛苦の有様をモ デルにして書かれたのが、あの有名な孫悟空の登 場する「西遊記」である。経・律・論の三蔵に精 通した僧のことを三蔵法師という。
 仏蹟を巡拝、多くの師に法を聞くこと十六年、 玄奘は長安の大慈恩寺に帰り、六十三歳でその生 涯を閉じるまでの間、専ら持ち帰った仏典の漢訳 に従事されたのであった。昭和十七年、南京駐留 の日本軍がたまたま土木作業中に玄奘三蔵法師の ご霊骨を発掘し、南京政府に届け出た。そこで、 その分骨が日本仏教会に贈られ、現在、ここの石 造十三重の塔に納められているのである。境内か ら水田をはさんで高さ一五メートルの塔が望める が、是非歩を運んで参拝したいものである。
 坂東札所がこの十二番までは、その道順に何の 無理もないが、浅草寺、弘明寺へと次第するのは、 どうも鎌倉へ戻るようで腑に落ちない。順番にか まわず巡ってよいというのであろうか。

●主な法要行事  一月一日与三日初詣・正月大護摩供  二月五日玄奘忌  八月九・十日四万六千日
●付近の名所旧跡  牛島の藤 人形の町
●宿泊施設 なし。
●拝観料 無料。
●納経時間 午前八時より午後五時


観音さまのご功徳   慈恩寺住職 大嶋見順

 当山にお参りの方々には案内と一緒に「十句観音経」をお頒ちいたしております。当山先代が癌の手術の折、十句観音経のおかげで九死に一生を得たことから、その功徳をみなさまにお頒ちしたいと考えてのことです。この観音経を、少しでもお役にたてば、と布施続けてくださっておられた中村余容先生も、観音経により救われ、書家として画家としてご活躍された方です。白隠禅師の霊験記をまつまでもなく、そのご功徳をいただいた方々の救われた喜びを多々うかがっております。
 一心に念ずることにより観音さまと一体となり、観音さまのお心をわが身にいただいて、心にやすらぎと喜びが湧いてくるのは、すべてのとらわれから解き放たれることによるものでしょうか。
 いずれにしても、喜びとやすらぎをお持ち帰りいただきたいものであります。
      十句観音経
 観世音 南無仏 与仏有因 与仏有縁 仏法僧縁  常楽我浄 朝念観世音 暮念観世音 念々従心起 念々不離心

第十三番札所のページへ
地図(クリッカブル・マップ)へ