弘明寺へ御来山歓迎


第十四番 瑞応山弘明寺 高野山真言宗
〒232-0067横浜市南区弘明寺町二六七 я克末ア所045(711)1231 本堂045(715)0222 仁王門045(715)0224
本尊●十一面観世音菩薩 開基●行基菩薩 創立●天平九年(七三七) 住職●美松寛定
光慧上人の建立
 『弘明寺縁起』に「其の境域・・・艮に臨めば滄 波百丈を湛へ、坤を顧れば富士巍々として白雪 皚々たり・・・真に是れ天下無双の勝境」とある景 観は、今日求むべくもないが、弘明寺は九百四十 年以前に造立されたご本尊と本堂とを擁する関東 の古刹であることに変わりはない。京浜急行線弘 明寺駅からも近く、また表参道は市営バス停「弘 明寺」の角を曲ると一直線の商店街が仁王門まで 続き、参拝者を容易に導いてくれる。竹一管造り の「竹の観音」を拝し、石段を上ると観音堂があ る。寺伝によれば天平九年(七三七)僧行基がこ の地で霊感を得て、十一面観音を刻んで一宇を建 立したのが開創という。だが、光慧上人の事跡の 方が、ここ瑞応山蓮華院弘明寺では濃い。
 『坂東霊場記』に長暦年問(一〇三七〜四〇) 武相の地に疫病が流行した時、光慧上人が秘法を 修し、宝瓶から霊水を注いで民衆を救ったとある。 この霊験を詠んだのが、ここの御詠歌である。
『風土記稿』には「今の堂は明和二年改め造り し所なり、其時古き堂の柱を除き去りしに、ほぞ の内に寛徳元年申年と記しありしを、村民庄左衛 門まさしく見たり」とあって、現在の観音堂の造 られた年代が知られる。寛和元年(九八五)に中 興開山と仰がれる光慧上人が建てた頃の、チョウ ナ削りは内陣にそのまま現在でも見られる。
 「相模八ヵ所、浅草、弘明寺を納め、千葉寺へ 赴く」と『坂東霊場記』にあるが、これは江戸時 代には全く札所の順序を念頭におかなかったこと を示すものであろう。この寺は古い頃、「求明寺」 とも称していた。

鉈彫りの観音さま
 僧行基が一刀三礼のうちに刻み奉ったという 「鉈彫り」の観音さま。実はその彫刻の形式から して平安末期のものといわれる。顔から足の先ま で、丸ノミでシマ目のノミの跡をはっきり表わし た尊像。この鉈彫りは十世紀から十一世紀にかけ て関東地方に多く見られる仏像彫刻の一形式であ るが、その中でも最も優れたものとして知られて いる。すばらしいご本尊さまである。
 像高一八〇センチ、欅の一木造りといわれてき たが、昭和三十九年、虫害防止のためよく調べる と関東地方特産のカタ木の「ハルニレ」の木であ ることがわかった。まさに関東育ちの仏さまであ る。荒けずりで一見、粗野に見えるが、赤外線写 真で見ると唇に朱をさし、眉目や口ひげ、胸かざ りの瓔珞などが墨書されており、愛らしささえた たえた十一面観音さまである。
 昭和三十三年に防災安置堂が完成し、このご本 尊が納められたのは、まことに慶賀に堪えない。 このような近代的予防設備のない時代、信仰心だ けによって護ってきた人々の信心がいまさらなが ら尊く感ぜられる。ぜひ内々陣に入って身近に拝 していただきたい。
 さて『吾妻鏡』によれば鎌倉時代は源家累代の 祈願所として、現世安隠の利益を存分に武将たち に与えてきたようだ。源頼朝は僧行基を尊崇して いたので、この寺を坂東札所の中に入れたとも考 えられる。観音堂の左手に厄除大師と弘法大師が 納められたと伝える聖天尊をまつるお堂がある。 また仁王門前の文政元年の百番供養塔は貴重な 「道しるべ」である。
●主な法要行事  一月一日から三日元旦初詣・家内安全 護摩 二月三日または四日節分豆まき・厄除護摩 四 月八日釈迦誕生花祭 七月八日〜十日十一面観音四万 六千日開帳 十一月十五日七五三詣り 十二月三十一 日終夜かがり火供養 毎月三の日、三日・十三日・二 十三日聖天秘密浴油祈祷 毎月八の日、八日・十八日 ・二十八日観音護摩祈祷
●付近の名所旧跡 山下公園 本牧市民公園
●宿泊施設 なし。
●拝観料 三〇〇円。
●納経時間 午前九時〜午後四時


十一面観音が笑う?!?   弘明寺住職 美松寛定

 十一面観音を本尊と奉る寺院は全国各地に多く、当山本尊も、天平時代に行基が、鉈彫と呼ばれる方法で彫ったといわれる十一面観音である。
 先日、わけがあって本尊さまを動かしていたら、普段はお目にかかることができないまうしろのお顔とご対面させていただくことができた。
 実はこのお顔、カンラ、カンラと笑っているのである。『十一面観音神呪経』という経典に、「当前の三面は、菩薩の面に作れ。左の廂の三面は当に瞋れる面に作るべし。右の廂の三面は、菩薩の面に似て狗牙を上に出せ。後に一面あり当に笑面に作るべし。其の頂上の面は当に仏の面に作るべし」
と書かれている。
 つまり正面の三面は菩薩面、左三面は怒りの顔、右三面は牙を出し、頭の上に仏面をおき、そしてうしろの一面は邪心をおさえるために笑っているのである。機会があれば一度ご覧になってみてはいかがだろう。

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