中禅寺へ御来山歓迎


第十八番 日光山中禅寺 (立木観音) 立木観音のホームページ  天台宗
〒321-1400 栃木県日光市中禅寺歌ケ浜二五七八 0288(55)0013
本尊●千手観世音菩薩 開基●勝道上人 創立●延暦三年(七八四) 門主●鈴木常俊
●詠歌●中禅寺 のぼりて拝む みずうみの うたの浜路に たつは白波

補陀渚浄土
 日光という地名は二荒から出ており、二荒山と は男体山のことである。二荒はフタラと読み、音 読でニコウ、これに日光の文字をあてたもの。さ て、このフタラ山こそ観音の浄土補陀洛山なので ある。この寺の開基勝道上人は幼児から出塵の志 を起こし、天平勝宝六年(七五四)二十歳で出家、 出流山の霊窟に参籠し、深く観音に帰依された。 そして観音浄土への強いあこがれから、やがて男 体山を開くに至った。
 すなわち、二十七歳の天平神護二年(七六六) に日光の地に四本龍寺を建てた(これがのちに満 願寺、光明院、そして今の輪王寺となった)。そ れから十五年を要し、ついに延暦元年(七八二) 前人未踏の男体山の頂上を道珍・勝尊などの弟子 らと共にきわめられたのである。その様子は弘法 大師の「沙門勝道、山水を歴、玄珠を磨くの碑」 に詳しい。

立木の観音像
 延暦三年(七八四)の春、小舟で上人が中禅寺 湖を周遊された折、湖上に千手観音の尊容を感見 され、桂の巨木を選んで立木のまま刻まれたのが 中禅寺の本尊「立木千手観世音菩薩」(重文指定) である。その六メートル余の尊像は、まさしく平 安時代初期のもので、伏目の柔らかな表情、関東 造りの素朴さが印象的である。  男体山霊を祀った中宮詞のもとの名は、補陀洛 山中禅寺であり、その境内に本寺観音堂が建てら れ、そこに奉安されていた。脇侍には奥羽征討の 時に源頼朝が寄進した四天王像が祀られているが、 荒彫りに近い雄渾な姿は時代をよく反映している。
 中禅寺湖は海抜一、二六九メートルの高地にあ り、それまでに馬返し、いろは坂、華厳の滝など を過ぎるのであるが、今ではドライブウェイで一 気に湖畔に着く。この霊場は女人禁制であったの で、女性はいろは坂の途中にあった「女人堂」か らご本尊を遥拝したものである。
 日光山は神仏習合の霊地であったが、明治初期 の神仏分離令によって、その様相を変えてしまっ た。また、明治三十五年の山津波により観音堂が 湖畔に押し流されたが、ご本尊は少しの損傷もな く湖上に浮かび、現在の歌ケ浜観音堂に奉安し、 今日に及んでいる。
 紺碧の湖に美しい朱の彩りを添えて建つ中禅寺 大悲閣、また五大堂は坂東札所の中で最も美しい 殿堂。五大堂の天井画「瑞祥龍」は堅山南風画伯 の筆、格天井の「日光花づくし」の絵は院展同人 二十四人の筆になる。ここからの山と湖の四季 折々の眺めは、まさに絶景である。勝道上人の修 法に感じて天人が舞い降り、歌詠賛嘆したという この浜は、日光修験が入峰の護摩を修した聖地で もある。
 映画「愛染かつら」のロケで有名な愛染堂、ま た開運、足止、安産で御霊験あらたかな波之利大 黒天堂があり、湖畔の周囲には薬師堂のある八丁 出島、開山勝道上人の首骨を埋葬した「上野島」、 千手観音を祀る千手ヶ浜などの聖域が広く点在し ている。「立木観音講」は毎年六月十八日、盛大 な法要を執行する。なお湖上に船をうかべ上人の 巡拝された跡を偲ぶ「船禅頂」は八月四日である。 ここは輪王寺の「別院」。

●主な法要行事  除夜〜正月修正会 六月十八日中禅 寺観音講法要 八月四日船禅頂法要
●付近の名所旧跡 華厳の滝 中禅寺湖 輪王寺 龍 頭の竜 戦場ヶ原 湯元温泉 湯元温泉寺
●宿泊施設  なし。近くに湯元温泉寺、素泊り(祈祷 科込) 三〇〇〇円。要予約。冬期間(一月中旬〜四月 中旬) 閉鎖。
●拝観料 大人三〇〇円、小・中学生一〇〇円。三十 人以上団体割引あり。
●納経時間  四月一日〜十月三十一日 午前八時〜午後 五時。十一月一日〜十一月三十日午前八時〜午後四時。 十二月一日〜二月二十八日午前八時四十分〜午後三時 三十分。三月一日〜三月三十一日午前八時〜午後四時。


観音さまのお声 中禅専門主 鈴木常俊 

 ある夏の日、七十歳前後のおじいさんが、中学生ぐらいの孫をつれて、ご本尊立木観音さまの 前で、一心に観音経を読誦している。その姿があまりに真剣なので、後刻声をかけてみると、実 は、と言いながら次のようなことを話してくださった。
 私は若い頃、経済的な悩みごとで人生に失望、死ぬつもりで華厳の滝まで来たが、この世の最 後にと思い立木観音さまをお参りしたところ、「死んではいけない。頑張りなさい」という観音 さまのお声が聞こえてきたのです。
 観音さまのお言葉で死ぬのを思い留まり、それからは一生懸命働いてきました。おかげさまで 今日の私があるのです。年に一度必ず参拝お礼を申し上げているのですが、おそらくほかにも私 のような人がいると思いますよ、とのことであった。
 観音さまをお参りしたため、華厳病から救われている人が何人もいるということは本当に有難 いことです。
 南無大慈大悲観世音菩薩

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