観世音寺へ御来山歓迎


第二十三番佐白山観世音寺 (佐白観音) 普門宗
〒309-1611 茨城県笠間市笠間一〇五六−一 0296(72)1332
●本尊●十一面千手観世音菩薩  開基●粒浦氏  創立●白雉二年(六五一) 住職●天津忠興
●詠歌●夢の世に ねむりもさむる 佐白山 たえなる法や ひびく松風

三白から佐白への山号
 笠間稲荷と笠間焼で全国に知られている笠間市 の本通りから笠間城址の方へ道をとると、「佐白 観音堂」の石柱が目に入る。そして左折、朱塗り の門をくぐると、もうそこが境内。昭和五年、先 代の天津忠道師が佐白山麓に正福寺を移し今日に 及んでいる。現住の忠興師は東大寺の三月堂を摸 した観音堂を建立すべく、現在、勧進しておられ るので、近いうちに本建築の立派なお堂が完成し、 明治初年以来の念願を果されることになろう。
 『佐白山縁起』によれば白雉二年(六五一)狩 人の粒浦氏が白馬・白鹿・白雉がその傍で護る霊 木をもって千手観音像を仏工に刻ませ、安置した のにこの寺は始まる。山号は三白山。やがて孝徳 天皇の勅願所となり、のちに「誠に尊徳日々に新 たなれば、漸妨舎繁栄して既に一百余宇の僧坊有 り、今の土民の家宅は古へ皆僧坊の跡と申し侍 り」と『縁起』は往時の盛況を記している。実に 鎌倉時代初頭までには関東における有数な霊場に なっていたのである。
 ところが近隣の徳蔵寺との寺領の争いがきっか けとなり、宇都宮頼網の命をうけた宇都宮氏が正 福寺を襲って堂宇を破却し、そこに築城、笠間氏 を名乗り徳佐二山の寺領まで占有してしまった。 時に建保二年(一二一四)であった。
 頼網は時朝の伯父にあたり、平安中期から戦国 時代におけるこの辺の豪族である。しかも笠間氏 の宗家にあたっているので、その命には従わざる を得なかったのであろう。時朝はその後、戦没僧 侶の亡霊に悩まされ、悪業の恐ろしさに観音の宝 前で懺悔、忠円阿閣梨を招いて観音堂を再建した。 しかも幕府に無断で用兵、築城した咎により罰せ られたが、観音さまの霊験によって助けられ、そ れより「佐く」の文字を使って、三白を佐白とあ らため山号とした。そして六ヶ坊を建てた。
 因みに時朝は鎌倉初期の歌人で『後選集』に名 をつらねている。それもそのはず父の朝業は将軍 実朝に仕え、その死去にあたって出家、「信生」 を名のって、のちに「信生法師集」を残している 有名な歌人である。
 かくて笠間氏は約四百年の間、代々がこのご本 尊に崇敬の誠を捧げ、七堂伽藍をそなえる霊場と していった。永禄八年(一五六五)笠間高広は三 重塔の第一層を、その子の広直が第二層を寄進し ているなどがそれである。
 しかし、天正十八年(一五九〇)宗家である宇 都宮氏により亡ぼされ、時朝より十八代で笠間氏 は絶えた。以来この寺は衰亡に向かい、わずかに 宥明上人がご本尊を一坊舎に移して衆庶の参詣に こたえる有様であった。

信仰の結晶千手尊
 「髪の毛筋など端正に仕上げてあり、端靂な面 長の顔で中央の系統の仏師の作」といわれる鎌倉 時代初期の優作、写実的な彫法に時代の特色がう かがえるといわれるが、なんと申しても、ご尊容 を拝していると無条件で『有難い』という心が湧 いてくる観音さまである。信仰の結晶とも申さる ベき、このご本尊さまを、よくも今日まで護って こられたものである。不動、毘沙門の両脇侍尊は室 町時代初期のお作。拝するはどに信心の深まる三 尊である。いずれのご尊像も明治の廃仏運動の時 に戸倉の徳蔵寺に移されて難を逃れ、明治六年に 玄勝院に祀られ、そして現寺域に。長い間のご遷 座続き。これからはご安泰である。ここは近年 「観世音寺」と改称した。
「城址博物舘」に寄るといい。
●主な法要行事  元朝参り 節分会 四月十七日春例 大祭 除夜の鐘
●付近の名所旧跡  城址公園 つつじ園 あじさい園  芸術村 陶芸公園 日動美術館
●宿泊施設  なし(市内、ホテル旅舘多し、問い合 わせ可)
●拝観料  無料
●納経時間  四月〜十月午前八時〜午後五時 十一月〜三月午前九時〜午後四時


すばらしい方にお目にかかる巡礼の旅 観世音寺住職天津忠興

 「お観音さまへの巡礼って何ですか?」
 こんな質問に、
「すばらしい方にお目にかかりに出る旅ですよ」
と答えます。
 世にもお優しく美しいお姿で、三十三もの手だてを立てて人々をお導きお救いくださるすばらしい方にお目にかかるのですから、写経をさし上げる、せめて読経をしてご印をいただくようにと申し上げている毎日です。
 生きていく上には、さまざまな喜びや悲しみに出会います。お観音さまはそのお胸の中に、限りない人々の喜びや悲しみを優しく受けとめられ、喜びの中にいる人には感謝の心を持つように、悲しみの中にいる人には生きる勇気を持つように導き続けてこられた、そういう方がお観音さま・・・・。このように思いいたる時、お観音さまの前ではたいそうすなおな心になることができます。
 巡礼の旅を通して、日頃の暮らしや生き方をもう一度見なおしてみたいものです。

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