清瀧寺へ御来山歓迎


第二十六番 南明山清瀧寺 真言宗豊山派
〒300-4108 茨城県土浦市小野一一五一 0298(62)4576 本尊●聖観世音菩薩  開基●行基菩薩  創立●推古天皇十五年(六〇七) 住職●古幡章善
●詠歌●わが心 今より後は にごらじな 清滝寺へ 詣る身なれば

龍ヵ峰から現在地へ
 筑波山の南の裾、小高い丘の上にある清瀧寺へ は石岡・北條を結ぶ道を二本松で右折し(現在ダ ンプ道路などと呼ばれる二車線の大型農道)「坂 東街道」と呼ばれた参道を約三キロたどることに なる。または国道一二五号線よりバープルライン を目標に北へ向い、二本松の信号を直進する。参 道口には札所の石標があり、やがて正面に高い石 段が見えてくる。そしてその上に天保年間(一八 三〇〜四四)に再建された仁王門が建っている。 それをくぐり、やや上ると観音堂である。(常磐 高速道土浦北インターより入ると約五キロ)
 この寺の草創は推古天皇十五年(六〇七)勅願 により聖徳太子御作の聖観音像を龍ヶ峰に安置し たことにあるという。また『坂東霊場記』には 「南明山清瀧寺は、筑波権現降遊の砌り、行基大 士草創の地なり、本尊聖観世音菩薩(御長丈八) は、同じく開山大士の彫造、今の堂地中興の事は、 花山法皇の御叡慮なり」ともある。筑波の二柱の 神が小野山に遊幸された折「頻りに渇の心地し」 天の鉾をもって地を突かれたら清水が滝の如く、 南北二ヵ所から湧き出たので、南の清明なる滝口 に僧行基が寺を建てられたというのがその梗概で ある。のち「二百七十余歳を経て」花山法皇が 「かかる瞼岨の山頂に在っては、老若の結線あま ねく及ばず」とされ、龍ヶ峯から山の中腹に移さ れた。その伝承は平安時代に徳一法師によって山 の中腹(現在、古観音と呼ぶ)に移されたという もので、観音堂の所在を示す礎石が残されている。

古代からの信仰圏
 いずれにしても、この地は筑波山における古代 の信仰圏内であることは確かである。それに鹿島 ・香取の信仰ルートにも関係深く、相当古くから 文化的に開けた地域で、観音信仰の導入も早いも のであったろう。「山の荘」は荘園であり、その 肥沃な土地は古歌で知られる「小野の小牧」、奈 良時代の製鉄所跡とされる「かなくそ山」など古 代の遺跡がまことに多い。
 奈良朝の頃、関東文化に現われた大きな変化は 国分寺の建立であったが、それ以前においても仏 教は関東の地に広く伝来していたとみるのが通説 である。だから清瀧寺の『縁起』もさほど虚妄な 内容ではないといえよう。さらに時代は下るが当 寺よりわずか二キロ足らずの所に、延暦十五年(七九六) 最仙上人開基の東城寺があることは、 平安初期の山岳仏教の影響も考えられるのである。
 鎌倉時代には幕府の功臣八田知家(小田氏)の 保護により栄えたが、室町時代に至り永禄・元亀 の頃、常総の野に繰り広げられた戦乱の兵火の中 に、その堂宇と什宝を消した。だが元禄年間(一 六八八〜一七〇一)本堂が再建され栄えた。しか し明治維新を境として急速に寺運は衰え「無住」 の期間も相当長く大字小野の人たちが輪番でこれ をささえてきた。大正十四年刊の『新治郡郷土 史』に永禄・元亀の戦いの折も「時に尊体依然た り」とある如く、ご本尊さまは信徒のカで護持さ れてきたのであった。
 ところが昭和四十四年不審火により山門のみを 残し焼失してしまった。「昼火事だったが、火の 勢いが強くて、気がついた時は、もうご本尊さま をお出しすることはできなかった」と村の人たち は嘆いている。最近、大字小野再建委員会の尽力 で立派に再建されたのは、一ヶ寺でも欠いては板 東巡礼にならぬとの尊い悲願の結晶といえよう。 巡礼者は小野集落を中心とする信徒がたのご功徳 を有難くうけとりたいものである。

●主な法要行事  八月九日万灯法要
●付近の名所旧跡  日枝神社 東城寺(比叡山を摸し た寺、本尊薬師如来) 小野小町の墓
●宿泊施設  なし 近くに「ふじがみ旅舘」がある。
●拝観料  無料
●納経時間  午前八時〜午後五時(冬期は午前九時〜 午後四時) 老人会有志が納経所奉仕を交替で年中無休 で行っている


桃咲く里で   清瀧寺住職 古幡章善

 今もなお 人の心の変らずや
     桃咲く里の 清瀧の寺

 どなたかが、そっとご本尊にお供えしてゆかれた歌です。清瀧寺に参られた時、何か心に感じて帰られたのでしょう。
 この寺は、近年災難が相続きましたが、多くの方々のご協力を得て、旧に増して整えることができました。
 寺も、お人の暮しも、整うというのは建物だけではありません。
 ご本尊にご奉仕する者一同、
「人の心の変らずや・・・・」
 という問いかけに、
「桃咲く里の清瀧寺にまたお参りください。里人の心は今も変わりありませんよ」
と申し上げられる寺であり続けたいと念願いたしております。

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