千葉寺へ御来山歓迎


第二十九番 海上山千葉寺  真言宗豊山派
〒260-0844 千葉市中央区千葉寺町一六一 043(261)3723
本尊●十一面観世音菩薩   開基●行基菩薩   創立●和銅二年(七〇九)  住職●藤沢利恭
●詠歌●千葉寺へ 詣る吾が身も たのもしや 岸うつ波に 船ぞうかぶる

僧行基の巡錫と瑞蓮
 千葉市の中心部を抜けて大網街道沿いの一角に 広い境内をもつのが千葉寺。天保十二年(一八四 一)に再建された単層入母屋造りの山門を入ると、 開創の時に植えたと伝える銀杏の老樹が目につく。 今では千葉寺の象徴でもある。
 『千葉寺縁起』によれば和銅二年(七〇九)僧 行基がこの地に来られ「池の中に茎一本に花二つ 開き、千葉の青蓮華あり、其の花の中に弥陀如来、 観音大士の二尊並びましまして説法し玉ふ」とい う瑞蓮を見て、丈六の観音像を刻み奉安したのに、 この寺は始まるという。
 そして聖武天皇の勅諚により海照山(現在は海 上山)千葉寺と称した。やがてご本尊の霊カによ って十八間四面の観音堂が建立され、繁栄を示し た。ところが永暦元年(一一六〇)落雷のため諸 堂及び霊宝のすべてを焼失してしまった。だが本 尊は近くの桜の木の枝に難を避けられた。このこ とがあって「奇なるかな、本尊の開帳には必ず花 の咲くこと時節にかかはらず」(板東霊場記)と の奇瑞があるとか。この時に寺の位置が移動した というが、現在地から奈良時代の古瓦が出土する ので千葉寺は創建以来、場所は変わらなかったと 推考されている。
 最近の数次に及ぶ発掘および考古学的な調査に よると布目瓦などの様式からして、奈良時代後期 には現在地に堂宇が建てられていたことが判明し た。そして千葉寺伽藍の主要をなしたのは金堂で あり、そのはか南大門、東大門、西大門、講堂の 存在が確かめられている。

千葉氏の祈願所
 中世には、この地に勢力を張り、源頼朝の旗揚 に大きな力を与えた豪族千葉氏の祈願所として栄 え、源家を再興し得たのはひとえにこの観音さま の冥助なりと頼朝は千葉常胤に命じて「運慶」作 の愛染明王像を寄進している。永禄十一年(一五 六八)胤富は海上郡を永代寄進し(寄進状現存)、 第十四世空山上人と共に中興した。しかし豊臣秀 吉の小田原攻めの際に北條氏と共に千葉氏は滅亡 した。それはそのまま千葉寺の衰運につながった のちに天正十八年(一五九〇)徳川家康が朱印百 石を寄せ、二代将軍秀忠の参詣も再度にわたり、 元和九年(一六二三)に観音堂が新築された。こ の将軍家とのゆかりによって大いに寺格を高めた が、惜しいかな元禄・文化・嘉永と回禄を重ね、 堂舎什宝を失った。
 しかし、そのつど近隣への勧進をはじめ、江戸 へご本尊の出開帳を催すなどして浄財をあつめ再 興している。文政十一年(一八二八)建立の広壮 な構えで知られた観音堂は昭和二十年の戦災で失 われた。だが最近立派なお堂が落成をみたのは、 まことに慶賀に堪えない。
 蘇我方面から東進して千葉寺へ参る道、これを 現在も稲荷町あたりでは「巡礼街道」と呼んでお り、現存の寛延五年(一七五二)の供養塔や宝暦 四年(一七五四)の庚申塔にも「ちばてらみち」 (他所にあったものが、今は境内に移されている) と刻まれており、江戸、房総、東金、大多喜、佐 倉の諸街道は、札所の順序にかまわずに千葉寺へ 歩をはこぶ巡礼者で賑わったことが想像できる。 だが明治初年には年貢米もないという窮状「無 住」の寺ともなった。明治三十一年、義栄法印が 「保存講」をつくり、そして孤峯法印の代に至っ て法灯は再び輝き、今日の隆昌を見ている。千葉 笑いの奇習、千葉の戻り鐘の奇譚、重美指定の六 角釣灯籠が寺史を彩っている。

●主な法要行事  一月一日〜三日暁天観世音大護摩 一月・五月・九月の二十一日大護摩 小児虫封じ 四月大師巡礼 水子供養 除夜の鐘
●宿泊施設  なし
●拝観料  無料
●納経時間  午前八時〜午後五時


観音さまと私 千葉寺住職 藤沢利恭

「アッ、この子だ、おじいちゃんの生まれ代わりの子は」叔父たちは私の頭にあるあざを指して叫んだ。大正四年の夏母の里帰りの日のことである。
 母の生家は奈良県桜井市白木中森家で、祖父は医者であったが、西国八番札所長谷寺に毎朝参拝し、来世は僧に生まれ代わるよう願をかけていた。祖父の死後霊媒者にその死後のことを尋ねると「私は極楽の上座に住むことができた。私の分身はもう生まれている。頭に印があり、天竺に詣り天寿を全うする・…・・」等々。
 それから十七年後、私は長谷寺で八十日の加行にも堪え、インドの釈尊遺跡巡拝など、予言どおりになった。人の大半は生まれ代わるのである。
 ありがたい観音さま、いつも真心をもってお祈りすれば必ずお救いくださることを信じないわけにはいかない。ありがたい、すまない、もったいないと拝む人は拝まれる人でもある。
 浄業成就を祈る。
 南無大慈大悲観世音菩薩           合掌

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